本作『ローン・サバイバー』は、実話に基づく真実の物語です。
舞台は2005年、アフガニスタンの山岳地帯。アメリカ海軍特殊部隊ネイビー・シールズによる「レッド・ウイング作戦」が秘密裏に実行されます。ターゲットは、ビン・ラディンの側近であり、タリバンのリーダーでもあるアフマド・シャー。彼の排除が作戦の目的でした。
しかし、万全を期したはずのこの作戦は、予期せぬ展開を迎えます。監視任務中の隊員4名が現地の民間人と遭遇してしまったことから、事態は大きく変わり始めるのです。
民間人――現地の山羊飼い――との遭遇により、彼らは究極の決断を迫られます。作戦の成功を優先して民間人を殺すのか、それともタリバンに通報されるリスクを覚悟で解放するのか。本来であれば指揮官の指示を仰ぐべきところですが、無線が通じないという不測の事態が発生します。
最終的に解放を選んだ隊員たちを待っていたのは、200人のタリバン兵との壮絶な戦闘でした。4人対200人という圧倒的な戦力差の中、全滅の危機に瀕しますが、主人公だけが生還に成功します。そこには、胸を打つ人間ドラマが隠されていました。
このネイビー・シールズ史上最大の悲劇を映画化するにあたり、よりリアルな描写を追求するために、現役および元ネイビー・シールズ隊員によるチームが結成されました。役者たちは、兵士としての肉体改造はもちろん、射撃や通信、戦場でのチーム行動までも訓練され、リアルなアクションシーンを披露しています。
また、実際の戦場を彷彿とさせる迫真の戦闘シーンも見逃せません。
リアルさと音響が絶賛された映画
本作を鑑賞した観客からは、その緊迫感やリアルさ、残酷さ、そして痛みが伝わってくるといった声が、日米問わず寄せられています。特に注目すべきは、「音」に関する表現です。銃撃音やロケット弾の爆発音、兵士の息づかいなど、音響によって最前線のリアルさが際立っています。
この「音」は映画関係者からも高く評価され、第86回アカデミー賞では録音賞と音響効果賞の2部門にノミネートされました。惜しくも受賞は逃しましたが、全米録音監督組合賞や全米音響効果監督組合賞などにもノミネートされており、その評価は折り紙付きです。
サバゲー好きにもおすすめのリアル戦争アクション映画
実話を基にしたこのリアルな戦争アクション映画は、戦争の過酷さに思いを馳せるのも良し、主人公たちになりきってイメージトレーニングをするのも良し、サバイバルゲーム好きには見逃せない映画と言えるでしょう。
原作も見逃せない
アフガン、たった一人の生還 (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)
基本的な装備品について
装備品についてですが、映画であるため細かな再現は難しいこと、また「レッドウイング作戦」が2006年に行われたため、当時と同じ装備を入手するのは困難です。したがって、完全な再現は難しく、雰囲気を重視した再現が現実的です。
具体的な装備としては、まずBDU(バトルドレスユニフォーム)の上下を着用し、その上にRRV(ローデシアン・リコン・ベスト)を着ることが基本です。
さらに、マガジンポーチやグレネードポーチ、ハンドガン用ホルスターを装着すれば、全体的な装備は整います。頭にはブーニーハットをかぶり、メカニクスグローブを装着することで、雰囲気は十分に出せます。さらにこだわる場合は、無線用のPTTスイッチを胸に装着するのもおすすめです。
メインウェポンについて
メインウェポンは、Mk12 SPRとM4カービンが基本となりますが、映画ではカスタムされたものが使用されています。そのため、再現するには手間がかかるかもしれません。手軽に雰囲気を出すには、銃本体にカモフラージュペイントを施すのがおすすめです。色合いが変わるだけでもかなりの雰囲気が出ます。
また、M4カービンには、映画と同様にM203グレネードランチャーを装着するのが理想的です。スナイパーのマシューが使用するSPRはクレーンストックを装備しているので、再現の際はその点にも注意を払いたいところです。
その他にもバイポッドの装着を考えると、よりリアルに近づけることができますが、再現するのは難しい場合もあるかもしれません。
なお、『アームズマガジン』2014年5月号では、台湾のエアガンメーカーG&Gアーメント社などの協力のもと、映画のメインウェポンを再現しています。今後、映画モデルの発売も期待されます。
「ローン・サバイバー」データ
スタッフ | |
---|---|
監督 | ピーター・バーグ |
キャスト | マーク・ウォールバーグ テイラー・キッチュエミール・ハーシュベン・フォスターマーカス・ラトレルマイケル・マーフィダニー・ディーツマシュー・“アクス”・アクセルソンアリ・スリマン |
制作 | ピーター・バーグ
サラ・オーブリー ランドール・エメット ノートン・ヘリック |
製作年 | 2013年 |
製作国 | アメリカ |
配給 | 東宝東和、ポニーキャニオン |