『フルメタル・ジャケット』は、スタンリー・キューブリック監督による異色の戦争映画で、ベトナム戦争を舞台にしています。特に前半のシーンが非常に印象的であり、この映画を語る際、前半のシーンを思い出す人が多いほどです。
異色の構成
一般的な戦争映画は、戦場での戦闘シーンがメインですが、『フルメタル・ジャケット』はそうではありません。戦場のシーンは後半にしか登場せず、それも戦場以外のシーンが多く含まれています。そのため、戦闘シーンを楽しみたいという人には少し方向性が異なる作品と言えます。
前半は新兵訓練の様子を描く
前半では、サウスカロライナ州パリス・アイランドの海兵隊訓練キャンプでの非人間的な教練が描かれます。鬼教官が若者たちを戦闘マシーンに仕立て上げるため、罵倒や体罰が繰り返されるシーンが続き、非常に異色です。これが、映画の最大の特徴と言えるでしょう。
狂気への関心が反映された作品
キューブリック監督は『時計じかけのオレンジ』などでも見られるように、狂気に対して強い関心を持っており、その影響が『フルメタル・ジャケット』の前半部分にも色濃く表れています。
実際、この映画が最も生き生きとしているのは前半部分であり、後半部分はそれほど強いインパクトを残していません。
後半のベトナム市街戦
後半では、ベトナムに舞台が移り、北ベトナム軍のテト攻勢の中でフエ市での市街戦が描かれます。多くのベトナム戦争映画がジャングル戦を描く中、この映画は市街戦を扱っており、その点では特筆すべき作品です。
ただし、戦闘シーンのエンターテインメント性はそれほど高くなく、前半のインパクトには及びません。
武器の扱い
映画にはM14、M16、サコーM60などの武器が登場しますが、M16がモデルガンで代用される場面もあり、武器の再現度に関しては評価が分かれるかもしれません。
また、敵側の銃としてVz.58Pが登場しますが、これは実際に当時使用されていたもので、AK-47の代用品ではないようです。
まとめ
『フルメタル・ジャケット』は、戦争映画として非常に異色の作品であり、その独特の構成とリアルな描写から、一度は見ておくべき映画です。戦争映画ファンやサバイバルゲーム愛好者にとっても、興味深い作品と言えるでしょう。